登山を始めるといつかはやってみたいのが山にテントで泊まる、テント泊ですよね!
テントや食料を担いで山に登って、テントを張って自炊をして、夜は満点の星空を眺めながらシュラフに入って眠り、早起きして雲海からのぼる朝日を拝む・・・・。
テント泊にはそんな素晴らしい魅力がいっぱいいっぱい詰まっています!
無雪期のテント泊について、必要な知識や装備の解説。さらにはテント泊の魅力についてもご紹介していきます。
テント泊の登山計画の立て方
普段より時間がかかることが前提で計画する
普段日帰り登山や小屋迫登山をするときのザックの重さは、個人差はあれ3~6㎏程度の人が多いと思います。しかし、テント泊に必要なものを入れたザックは、10~15㎏ほどになり、食料や装備の重さによっては20㎏をオーバーすることにもなります。
そうなると当然慣れていない初心者はいつものペースで山を歩くことはできなくなります。特に登りのペースはかなり落ちることが予想されますので、山と高原地図などのペースタイムよりも余裕をもって計画をたてるようにしましょう。
初心者は縦走ではなくピストン登山がおすすめ
テント泊の登山スタイルは、大きく分けて
「縦走」と「ピストン」があります。
縦走は、テントを担いで山のピークからピークへと歩いていくスタイル。
ピストンはある程度の標高まで登ってベースキャンプ地を定めてテントを張り、そこを拠点に身軽な装備で山の頂上を目指すスタイル。
テント泊初心者にはピストンスタイルをお勧めします。
拠点を定めて登るピストンなら、山頂アタック時には必要なものだけ持って身軽な装備で登ることができるので、体力的にも技術的にも余裕をもって行動できます。
テント場への到着は早めに。遅くとも日没の3時間前には到着する
山の天気は午後になると崩れてくることが多いので、山に泊まる場合は山小屋泊でも同じですが、基本的に行動は午前中(正午まで)を中心にし、午後早くには宿泊地に着いているのが山のセオリーです。
テント泊では山小屋泊以上にキャンプ場に早めに到着し、暗くなる前に余裕をもってテントの設営を完了し、夕食を作れるのが理想ですね。
初心者のうちは何をするにも時間がかかります。早め早めの行動を心がけましょう。
山小屋が併設しているキャンプ場を利用する
テント泊初心者はなにかと不慣れなことも多く、いざ現地の天候が急変した際などは適切な対応をすることが非常に難しかったり、いろいろと不安なことも多いかと思います。そこで、慣れないうちは山小屋が併設しているキャンプ場を利用するようにしましょう。いざという時助けてもらえる心強い存在ですし、売店で食料なども手に入るので、初めからなにもかもやろうと無理をせず、初めはこういったキャンプ場を利用してテント泊に慣れていきましょう。
快適さをもとめるのは徐々に
テント泊のための道具は安いものから高いものまで本当に様々なものがありますが、快適さを求めるあまり、装備が重くなりすぎてしまったり、パッキングが複雑になって装備の取り回しが悪くなっては本末転倒です。
初心者のうちは快適性を求めるのはほどほどにして、最低限の装備をそろえてテント泊そのものになれるようにしましょう。特に重量がかさむ食料関係は、フリーズドライの食品を上手に利用するなどして荷物の増加を抑えるようにするのがポイントです。
テント泊に必要な登山装備
テント一式とシュラフ、大容量のザックが必要になります。テントやシュラフは安価なキャンプ用のものでも大丈夫ですが、重量が重くかさばるので、予算の許す範囲で軽くて保温性にも優れた山岳用のものを用意すると快適です。
その他登山に必要な装備についてはこちらの記事でまとめています
テント | 必要人数に応じたテントを用意。山岳用のものだと軽くて取り回しもいい。 |
テント内シート | テント内に敷く断熱効果のあるシートがあると、底冷えを防ぐことができる。 |
グラウンドシート | テントの下に敷くシート。テント下の小石などでテントが破けるのを防ぐ。 |
テントマット | テントで寝る際に使用するクッション性のあるマット。そのまま敷くタイプと空気を入れて使うタイプがある。 |
シュラフ | 気候に応じて必要な厚さのものを用意。山岳用のものだとコンパクト。 |
シュラフカバー | シュラフの保温力向上や、結露によるシュラフの濡れを防ぐ。 |
テント泊用のザック(50L ~) | テント装備をすべてパッキングすることができる大型のザックが必要になる。 |
細引き | テントを固定するための紐。 |
ペグ | テントにデフォルトでついているペグ以外に必要な場合は用意する。キャンプ場の地面が岩のばあいは不要。 |
山ご飯を作るために
ガスバーナー | 火をおこすための器具。ガスボンベに取り付けて使う。 |
ガスボンベ | ガスバーナーに燃料を提供するボンベ。 |
コッヘル・クッカー | 調理用の鍋。スタッキングといって大きさの違う器を重ねてコンパクトにできる山岳用モデルをオススメ。 |
食料 | 必要な食品類。初心者はフリーズドライというお湯だけで調理できるものがおすすめ。 |
お湯を沸かしたり、食材を炒めたり煮たりするためのガスバーナーとコッヘル(アルミやチタン製の調理器具)、ガスボンベ、そして食材が必要になります。
ガスバーナーは折り畳み式のコンパクトな登山用のものを選びましょう。
コッヘルも”スタッキング”といって重ねてコンパクトに収納することができる山岳用のモデルを用意できるといいでしょう。
食材は、生の食材をもっていって調理するのも最高ですが、慣れないうちはお湯でカンタンに作れるフリーズドライの商品を上手に使いましょう。
テントを張る練習やガスバーナーの使い方を練習しておこう
必ずしも現地の天候がいいとは限らず、雨や強風の中でテントを張ることになるかもしれません。もしくはテント場が非常に混んでいて、十分なスペースを使えないかもしれません。そんな状況で、テントの設営に手間取ってしまうのはよくありません。事前にテント設営の練習を十分に積み、強風時や雨の場合も想定した訓練をしておきましょう。
また、調理器具の使い方についても事前に十分練習しましょう。
現地では、狭いテントの中や、暗い中でライトの明かりを頼りに調理をすることも考えられます。火を扱う作業ですので、スムーズに安全に扱えるようになっておきましょう。
テント泊のマナーを守って快適なキャンプを楽しもう
テント泊は自由な山の楽しみ方の一つですが、もちろん何をしてもいいわけではありません。最低限抑えておきたいマナーをご紹介します。
緊急時以外の指定地以外でのテント泊は禁止
多くの山域はテント泊のためのキャンプ指定地が定められています。遭難などの緊急時をのぞき、指定地以外でのキャンプは禁止されています。また、キャンプ場の使用料金などが定められていることもありますので、キャンプ場を管理している山小屋などで指定の料金を必ず支払いましょう。
ごみは必ず持ち帰る
キャンプに限ったことではありませんが、山で出たごみは全て自分で持ち帰り、テント場を汚さないようにしましょう。山でのごみの処理はとても大変ことなので、山小屋に捨てて帰るのもNGです。
騒ぎすぎず、周りに配慮した行動をしましょう
夜お酒などがはいるとついついはしゃいでしまうこともあるかもしれませんが、周りには次の日に備えて早くから休んでいる登山者も多くいます。初心者ほど勘違いしがちですが、テントの布はほどんど音を遮ることができません。すぐ隣に寝ている人がいることを前提に行動しましょう。
テント場のスペースは譲り合って使いましょう
近年では、「ソロパーティー」というパーティーで行動するけれどテントは各々が1人用のテントを張るスタイルが流行っていますが、山の上のテント場はスペースに限りがあります。できる限りソロパーティーは避け、どうしてもという場合はスペースを無駄に使わないようにテントを設営しましょう。
テント泊の楽しみ・魅力
日帰り登山にはない山での時間を楽しむ
普段日帰り登山をしているときよりも山の中でゆっくりとくつろぐ時間を作ることができたり、日帰りでは見ることの出来ない景色を見られるのがテント泊の魅力の一つです。
テント設営も完了して、夕飯を作るまでのひと時やおいしい山ご飯を食べているとき・・・
騒々しい都会から離れて一人ゆったりとくつろいで考える時間を作れたり、いつもは話さないようなことを友人や恋人と語り合ってさらに中を深めたり・・
普段とは違う下界から隔絶された山の中に”泊まる”という非日常の体験が特別な時間を提供してくれるに違いありません。
山ご飯は特別な味 持参の道具で作る自炊飯!
もちろん日帰りでもお昼ご飯を山で自炊することはできますが、テント泊のようにしっかりと腰を落ち着けて暗くなる中まったりと山ご飯を楽しむことができるのもいいですね。
夕方コーヒーを飲みながら夕飯の支度をはじめ、夜はおいしい山ご飯。次の日に響かない程度にお酒で乾杯!なんてのも最高です。
一から自炊しなくても、山で食べるカップ麺とかマジで最高にうまいですよ♪
夜は最高の星空!朝は早起きして朝焼けと雲海、朝日!
山の中では、普段街にいては見ることのできないような満天の星空を眺めることができます。
周りに光源となるものがないので、普段は見えないような光の弱い星や、天の川だって目視でしっかり見ることができます。ただ単に暗いところでみるというのとは別の高揚感を感じられますよ♪
山頂付近のテント泊をした人は、朝は太陽より早起きして朝焼けと雲海を見に行きましょう。この世のものとは思えない静けさと神秘の世界が広がっているかもしれません。
徐々に日が昇り、まぶしい光と共に雲海が晴れていく様は本当に何回見ても美しい景色です。
いかがでしたか?テント泊登山の知識や魅力は十分に伝わったでしょうか?
テント泊登山を始めると、今まで歩けなかったルートを歩けるようになることはもちろん、より山に寄り添って登山を深く楽しむことができるようになります。
今回ご紹介したような準備をしっかりと行って、テント泊を通じてさらなる登山の魅力を感じていってください。
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